「暮らしの窓とは」
マンションのライフスタイルを彩る
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建診ドクター
皆さまのお住まいのマンションは、どんな色をしていて、どんなものが設置されているか観察したことはありますでしょうか。普段何気なく通っている廊下やエントランス、ゴミ置場などをじっくり観察する機会は少ないと思います。今回は、私たち建診ドクターが総合調査でチェックしているポイントを解説します。
マンションの「顔」といえば、まず目に入るのは外観ではないでしょうか。外観の多くを占めているのは外壁であり、総合調査でも重要な点検項目のひとつです。マンションに多く採用されているタイルはコンクリートで造られた柱や壁の上に貼り付けられ、高級感・重厚感をもたらしますが、年月とともに劣化が進行していきます。見た目にわかるひび割れや欠けだけでなく、「浮き」という劣化現象も非常に重要なチェックポイントとなります。浮き現象は、コンクリートからタイルが少し剥がれかけているような状態で、見た目にはわかりません。玄関ポーチの真上や建物まわりの通路上部などにタイルが貼り付けられている建物が多くあります。そのような危険性の高い箇所は、私たちも重点的にチェックしています。(豆知識①)
安全面でもうひとつ例を挙げると、ブロック塀の状況確認も行っています。隣地との境界塀やゴミ置場の仕切壁などに設置されているブロック塀は一般的な名称であり、正式には「補強コンクリートブロック造」の塀といいます。この塀について、外観のチェックポイントをご紹介します。
まず、2018年に発生した大阪府北部地震の際のブロック塀倒壊事故の原因のひとつともいわれているものが「控え壁」の欠如です。一部例外はあるものの、控え壁が適切に設置されていないと地震などの外力で崩壊・倒壊する可能性があります。(豆知識②)
次に、「透かしブロック」と呼ばれる穴あきのブロックは、風通しが良くおしゃれな一方、多用されていると内部鉄筋が不足している可能性があります。(豆知識③)
その他、総合調査では大きなひび割れや傾きの有無などの点検を行い、危険性のある場合には、詳細調査や改修の提案を行っています。
PROFILE
株式会社 東急コミュニティー
リフォーム事業部 マンション第二技術部
多摩エリアセンター 管理技術チームB
今泉 奈々絵さん
(いまいずみ ななえ)
【保有資格】
マンション維持修繕技術者・2級建築施工管理技士
総合調査のチェックポイント
外壁• ブロック塀
タイルの浮きを調査する際に使用するのが、「打診棒」と呼ばれる先端に球のついたアイテムです。タイルの上で打診棒をカラカラと転がすように打診すると、浮きが発生している箇所では軽くて高い空隙音がします。
浮きが進行するとタイルが落下する恐れもあるため、総合調査では手の届く範囲で打診調査をし、浮きの程度や範囲、周囲の状況などから経過観察や要修繕などの提案をしています。
通常、塀の高さが1.2m(目安:6段)を超える場合は、長さ3.4m(目安:8~9列)以下ごとに塀を支え、転倒への抵抗力を増すための控え壁が必要となります。
透かしブロックは鉄筋が通せないタイプのものが使用されていることが多いため、2つ、3つと連続している場合は、鉄筋の入っていない倒れやすい塀である可能性があります。
PROFILE
株式会社 東急コミュニティー
リフォーム事業部 マンション第二技術部
多摩エリアセンター 管理技術チームB
今泉 奈々絵さん
(いまいずみ ななえ)
【保有資格】
マンション維持修繕技術者・2級建築施工管理技士