ライフスタイル特集
アウトドアを楽しみたいけれど準備や片付けが大変。それならば手軽に気軽に楽しめるグランピングはいかがでしょうか。アクティブにも優雅にも過ごせるグランピングについて、知識が豊富なお二人にアドバイスしていただきました。
グランピングについて、まずお話を伺ったのは、グランピングジャパン株式会社の古明地さん。「はじめにグランピングというワードですが、これはグラマラス(魅力的な)とキャンピングを合わせた造語です。本来なら不自由であるはずの自然の中で、キャンプ道具を揃えたり、運んだり、テント設営や食事の準備などから解放されて、心ゆくままにアウトドアを楽しむことが出来るスタイルといえます。特にお子さまが一緒の場合、準備をしていると遊ぶ時間が減ってしまうので、キャンプよりもグランピングの方が存分に自然を感じながら自由に過ごすことができると思います」
ではグランピングはいつからポピュラーになったのでしょうか?「古くは、ヨーロッパの貴族の娯楽であった狩猟がルーツであるといわれています。狩猟の際に泊まった富裕層のための豪華なロッジやサファリテントなどが今のグランピングの起源にあると考えられています。その後、イギリスの自然豊かな地域で2005年頃から『グランピング』という名前で自然を満喫できる施設が増えていきました」日本でもこの頃から関心を寄せる企業が増えていったようで、2010年あたりからじわじわと広がりを見せたのだとか。「それから、ご存じのようにコロナ禍になり、密を避けながら楽しめるレジャーや旅として、キャンプやグランピングの注目度が高まり、テレビやドラマのロケ地としても多く使用されるようになりました。その中でも、グランピングはキャンプ道具やアウトドアの知識がなくても、気軽に楽しめる点、さらには、大人も子どももペットでさえも一緒に過ごせるスタイルとして人気となったのです」
コロナ禍に密回避のレジャーとして、ますます人気となったグランピング。魅力についてさらに聞いてみると、「日本でのグランピングは海外のグランピングの流れを組み込んだ、ホスピタリティあふれる贅沢で豪華なグランピングもあれば、キャンプの延長のような自分たちでBBQをしたり、かわいらしいというか、キャンプらしいテントに泊まるスタイルも存在します。その選択肢の多さも魅力なのではないでしょうか。そして、そのどちらの楽しみ方も共通していえることは、自然に近いところで非日常を楽しめるという点。忙しい日常や都会から離れ、いつもとは違う環境や、ゆったりとした時間を手ぶらで手軽に楽しめるのがグランピングの魅力だと思います」
グランピングのいいところは、食事の準備が不要なところ。「料理は自分たちで調理だけはするセルフBBQのようなものもあれば、コンシェルジュが目の前で仕上げてくれるBBQコースなどもあります。また、高級なフルコースを併設のレストランで楽しめる施設もあり、その土地ならではの料理でもてなしてくれるところが多く、また、季節の旬素材を使った料理を楽しむこともできます」最近ではBARコーナーがある施設もあり、大人にうれしいサービスも充実しているそうです。
「テントはプライベートで使うような、いわゆるキャンプらしいテントから、大きな家具やベッドが入ったドームテント型までさまざまありますから同行者や好みに合わせて選べますよ」と古明地さん。さらに、「アウトドアでキャンプに近いグランピングを体験したい方にはベルテントのようなタイプ。ラグジュアリーなグランピングが楽しみたい方にはドームテントなどがおすすめです」どちらのテントもグランピングでは空調設備が整っていることがほとんどだそうなので、快適に過ごせそうですね。
「シンプルに焚き火自体を楽しむのもいいですし、焚き火を囲んで焼きマシュマロをしたり、スモアにアレンジしたりもできる施設も増えています。スモアは特にお子さまに人気ですね」また、グランピングのいい点は、焚き火をしたことがない人も、施設共用のスペースでの焚き火ならスタッフが常駐しているので、火の管理もおまかせできて安心です。
最近とても人気が高いサウナはどうでしょうか。「私自身も体験したことがあるのですが、グランピングでは格別に気持ちがいいです。千葉県の富津にあるグランピング施設で体験しましたが、外気浴がとても気持ちよくて、大自然の中で、外気浴をすると心まで整うんですね。海辺の波音を聞きながらの外気浴も最高に気持ちがいいので、ぜひ体験していただきたいです」
自然を満喫したい、という方にもグランピングはおすすめ。「野山に恵まれた場所では、トレッキングや収穫体験、海が近い場所では釣りやSUPなどのマリンスポーツ、そのほかにもヨガや天体観測、昆虫採集、冬季も運営している場所であればウィンタースポーツができる施設もあります。その土地や気候に合った独自のアウトドア体験ができるのも大きな魅力ですよね」ガイドをお願いできたり道具を貸してくれるサービスも多いそうで、初心者でもチャレンジしやすいのもグランピングのいいところ。
「ランチボックスに朝食セットを入れてくれて好きな場所でピクニック朝食ができる施設もあったり、海が見えるテラスで朝食を楽しめたり、焼き立てのホットサンドが食べられたりと、朝食もまた各グランピング施設でのこだわりがあるんです。それぞれに楽しめるポイントでもあります。しかも朝食後はテントの撤収などの作業もなく、すぐにアクティビティに出発したり、周辺観光に出かけられるのも、グランピングならではの手軽さではないでしょうか」
実際にどんなグランピング施設があるか知りたい、という方のために6つのグランピング施設をご紹介します!
【長野県】 GLAMPROOK飯綱高原
夏はもちろん真冬の雪の中でもラグジュアリーなドームテントに宿泊できる通年営業のグランピング。自然との一体感と快適さを追求し、リビングと寝室を分けて設計したツインドームも特徴。フルコースのディナーやBAR、焚き火などをオールインクルーシブで楽しめます。長野県上水内郡飯綱町大字川上2755-1
【群馬県】 妙義グリーンホテル&テラス
都心から車で約2時間弱。軽井沢から45分ほどの場所に位置する妙義グリーンホテル&テラス。プロが選ぶ「日本のホテル100選」に入選。地下2,000mの自家源泉から湧き上がる天然温泉や、大浴場からは日本三大奇景の一つ「妙義山」が生み出す大自然を望むことができます。群馬県富岡市妙義町菅原2678
【千葉県】 GLAMPROOK 富津ブリストルヒル
都心から車で約1時間のワールドリゾート。自然と融合するランドスケープデザインに徹底してこだわった空間で、優雅なグランピングが体験できます。上質な居心地を追求したお部屋に、渡邉明シェフ監修のディナー、プール付きラウンジなど非日常の贅沢をここで。千葉県富津市亀沢619
【滋賀県】 GLAMP ELEMENT
滋賀県の伊吹山の麓に位置するグランピングリゾートは、世界を形づくる、火・風・水・土の4元素を肌で感じられることがコンセプト。レインドロップのテントが新しくリニューアルし、カップル向けの2名定員の客室も新設。五感のすべてで癒やされる、くつろぎの場所で優雅なひとときを。滋賀県米原市池下60番地1
【愛媛県】 GLAMPROOK しまなみ
ボートか専用車で行く瀬戸内海の小さな島「馬島」にあるホテル&グランピング施設。オーシャンビューのお部屋や瀬戸内の海の幸を堪能できる和食会席、干潮時だけ現れる洞窟探検や来島海峡大橋の上を歩くツアーなど、ここでしか体験できない感動と出会えます。愛媛県今治市馬島1006
【鹿児島県】 鹿児島グランピング YOSHIZORA
鹿児島の中心地から約8kmの県立吉野公園内に立地。鹿児島の離島からインスピレーションを受けて作られた客室は、ドーム型テントとキャビンタイプの2タイプから選べます。テラスには吊り下げ型のハンモックやBBQスペースも。まるで自然の中に溶け込むような感覚を味わえます。鹿児島市吉野町7955
グランピング施設によって景色やお料理、アクティビティやサービスが全然違います。まだグランピングに行ったことがない人も行ったことがある人も、ぜひいろいろな地域のグランピングに触れて、自然の中で心癒やされる旅を楽しんでみてください。
教えてくださったのはこの方!
グランピングジャパン株式会社デザイナー・広報
古明地 妃代(こめいじ いよ)
ホームページのディレクション、カタログ・紙媒体のデザイン業務、メディア対応、サイトの記事更新などを担当。プライベートでは、お子さん2人(小1、3歳)を連れてファミリーキャンプに月1ペースで行くほどのアウトドア上級者。
では次に、食とアウトドアの文筆家でいらっしゃる飯塚さんに、家の近場でグランピングを楽しむためのポイントを伺ってみましょう。「まず大切なのは周りに迷惑がかからないようにすること。そのうえでリラックスできる環境を自分で作るイメージです。自分のお部屋で楽しむときも音や匂いがお隣に行かないようにするなど配慮しましょう。人から見て『素敵だな、まねしたいな』と思われるようなスマートさが必要です。たとえば食事。調理はせず、かといってお弁当ではなくその場で美しく盛り付けて、キャンプやピクニックより少しゴージャスに。そんな準備とセッティングの工夫があると楽しいでしょう」マンションの敷地やご近所の公園で行う場合には、敷地特有の規約を守ることを前提に、誰もが快適に楽しめることが大切なのですね。
「グランピングの楽しみは日々の快適をそのままに、自然との距離を近付けることかもしれません。アイテムもアウトドアとお部屋を行ったり来たり、どちらに置いても違和感がなく自然やインテリアに溶け込むものを選ぶといいでしょう」と飯塚さん。「機能性も大事ですが、アウトドアギアの荒っぽさを控えてデザインコンシャスな『使って心地がいいもの』という基準を定めて選んでみてはどうでしょうか。チェアとテーブルは存在感が大きいので日常から気持ちを切り替えるのに最適なアイテム。折り畳めるので収納時にも邪魔になりません。アクセントに、こちらは少しワイルド感があるLEDライトでアウトドア感を演出。食器類は丈夫でクラシックなテイストのホーロー製を」特におすすめのアイテムを伺ってみると、「私が特に気に入っているのがHangOutのBFディレクターズチェアとポール・ローチェアです。BFディレクターズチェアは高さを調整できるのでポール・ローチェアと一緒に使えます。bo-campのテーブル メルローズと合わせると存在感が増してかっこいい。ここに同じくbo-campのインダストリアルランタン ハーターを加えると『グランピングリビング』の雰囲気が強く出ます」とのこと。ぜひ参考になさってください!
HangOut/BFディレクターズチェア
凝った作りのコンパクトに畳める肘掛け付きチェア。HighとLow2段に高さ調整が可能。(参考価格:22,000円/税込)
HangOut/ポール・ローチェア
アッシュ材ウッドとキャンバス地の風合いが楽しいローチェア。リビングにもフィット。(参考価格:20,900円/税込)
①bo-camp/テーブル メルローズ(120x80cm)
High、Lowに高さ調整可能なテーブル。脚のエクステンションがテーブル裏に格納されています。(参考価格:16,500円/税込)
②bo-camp/テーブル ウッドバイン(150x80cm)
黒塗装のアルミフレームがインダストリアルな雰囲気。メルローズより天板が広いタイプ。(参考価格:18,700円/税込)
BAREBONES/アウトポストランタンLED
質感が高いスチール製LEDランタン。ヴィンテージ風ディテールと耐水防錆の機能性を持つアイテム。(参考価格:各9,350円/税込)
BAREBONES/エナメルティーポット
ウッドハンドルや手仕上げの焼き付けステンレスリムなど見どころの多いティーポット。(参考価格:各6,820円/税込)
①bo-camp/インダストリアルランタン ハーター
テーブルの雰囲気アップにぴったりのソーラーテーブルランプ。暖色系LEDを使用。(参考価格:5,500円/税込)
②bo-camp/ソーラー充電式テーブルランプ ロングフォード
竹製ハンドルと乳白色のボディが柔らかな雰囲気。光量3段、150ルーメンの柔らかな光。(参考価格:5,500円/税込)
①BAREBONES/エナメル8インチサラダプレート 2枚セット
スープや果物などがよく映える直径20㎝のホーロー製サラダプレート。日常でも使いやすい一品。(参考価格:2,750円/税込)
②BAREBONES/エナメルボウル 2個セット
深さがあるホーローボウル。リムはステンレス製でカッパーカラーのアクセントが美しい。(参考価格:2,860円/税込)
③BAREBONES/エナメルプレート2枚セット
スチールにトリプルコートホーロー加工を施した使いやすい直径28cmのホーロープレート。(参考価格:3,190円/税込)
④BAREBONES/エナメルカップ 2個セット
使いやすいサイズと、所有のよろこびがあるブロンズカラーのトリムが印象的なマグカップ。(参考価格:2,750円/税込)
アウトドア、グランピングで共通する楽しみは「自然との近さ」です。部屋には日常が満ちていますが、リビングの窓を全開にして風を入れるだけで匂いや湿度など気付きがあったりします。そこに少しだけアウトドアテイストを加えてやるとなぜか日常が少し遠ざかる。自然を思い出すことは日々の中で心の置き所として役に立ってくれるはずです。
食とアウトドアの文筆家
飯塚 敦(いいづか あつし)
食をテーマとしたライフスタイルブログ「カレーですよ。」運営19年。月刊男性誌「EXMAX!」で連載13年。カレー専門コラムとして国内最長連載。メディア出演・執筆・監修多数。アウトドア誌への登場も。