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ライフスタイル特集

次世代食材としても注目!

大豆、その実力と可能性

日本で古くから食べられてきた大豆。
栄養価の面でもすぐれており、また近年では
次世代フードとしても各国で研究が進められています。
あまり意識せず当たり前のように食べている大豆ですが、
どのような特性があるのか、また新たに期待されている
可能性などを食品メーカーのお二人に伺ってみました。

年間の大豆生産量って
どのくらい?

大豆の生産量は年間3億6400万トン(2021年度産)にものぼり、生産国はブラジルが約4割、アメリカが約3割を占めています。ちなみに日本の年間生産量は約25万トンほどで、大豆のほとんどは輸入に頼っているのが現状。
日本では、豆腐、みそ、しょうゆ、納豆など、さまざまな食材として食べられている大豆ですが、世界的には食用油の原料、および畜産の餌として用いられています。20世紀前半、米国で飛躍的に大豆生産が伸びた要因として、上記の理由があります。日本でも、輸入大豆の多くを大豆油生産や配合飼料原料として使用。ただ、近年は代替肉として注目され、ヴィーガンバーガーなどとして少しずつ食べられるようにもなっています。

大豆の栄養について

大豆の栄養素といえばなんといってもたんぱく質です。たんぱく質は、筋肉、血液、臓器、皮膚、髪など作るのに欠かせない成分。大豆は、肉に匹敵するほどたんぱく質を含んでおり、栄養成分としても全体の33%がたんぱく質。しかもたんぱく質を構成するアミノ酸がバランスよく含まれていて、9種の必須アミノ酸のバランスを表す「アミノ酸桶」や「アミノ酸スコア」においてフルスペックを持ち合わせている唯一の植物です。
さらに大豆は、イソフラボンやサポニン、レシチンなどの大豆特有の成分も含有。イソフラボンは女性ホルモン減少による不調をサポート、サポニンとレシチンには抗酸化作用などが期待できるといわれています。
また大豆はビタミンやミネラルも豊富。このように栄養面でもすぐれている大豆には、コレステロール、糖尿病、骨粗相症、がん、高血圧、更年期障害、生活習慣病などを改善する作用があるといわれているのです。

たんぱく質の生成において、9種の必須アミノ酸をバランスよく摂取することが必要。バランスが悪いと不足するアミノ酸を他の食材から補わないとなりません。大豆は必須アミノ酸をバランスよく含んでいるのでアミノ酸桶においてもパーフェクトとされています。

日本の食生活における
大豆

大豆由来の食品を食べない日はないのではないか、と思うほど、日本の食生活に大豆は欠かせません。下の図でもわかるように、豆としてだけではなく、しぼる、煎る、蒸す、煮る、発酵などを経て、さまざまに形を変えて流通されています。
そもそも日本で大豆が食べられるようになったのは弥生時代で、大豆の原産地である中国から伝わったとされています。日本において広く栽培が始まったのは鎌倉時代で、その頃は仏教が広く普及していたために肉食が禁止され、大豆は貴重なたんぱく源となっていたようです。
その後、時代とともに加工技術も発達し、日本人の探究心や繊細さも相まって、あらゆる加工品が作られました。このように大豆は、日本の食文化に根付き、なくてはならない食材となっているのです。

〈大豆食品はこんなにあります〉

[大豆 新時代]

今、大豆は新たに注目されています。

世界で見直されている
大豆

たとえばシンガポールでは、2030年までに食糧自給率を現在の10%程度から30%まで高める「30×30」政策実現に向けて、代替肉に注力しています。代替肉には大きく2種類あり、植物性由来のフェイクミートと、動物細胞を培養したクリーンミートと呼ばれるものがあります。フェイクミートは、大豆ミート、グルテンミート、えんどう豆ミートなどの植物性たんぱく質から作られていて、中でも大豆ミートは味や食感などほぼ肉に近く、今後さらに普及されていくと予測されています。

プロテインクライシス
とは?

さて、プロテインクライシスという言葉をご存知でしょうか。世界的に見ると人口が急速に増えており、その増加に食糧生産が追いつかないと予測されています。中でもたんぱく質の生産に課題があり、それを指した言葉が、たんぱく質の危機=プロテインクライシスです。
具体的には、2050年にたんぱく質の供給量が足りなくなると予測。現代の食生活において、たんぱく質は食肉=畜産に依存しています。しかしながら畜産には、土地、水、労力や多くの飼料が必須で、さらに温暖化による気候変化などもあり、需要に供給が追いつきません。
そこで、たんぱく質を摂取するために、畜産以外の生産効率のいい食品が求められます。大豆は広大な敷地で一気に収穫ができる特性もあり、次世代のたんぱく質源としても注目され、代替肉=大豆ミートの需要も年々高まっているのです。

代替ミートとしての大豆

ヴィーガンやベジタリアンなどの動物性由来の食品を食べない方々の中には、動物愛護の観点から、そのような食生活を選択している方もいます。代替肉開発の背景は、ヴィーガンおよびベジタリアン対応という面もありますが、それよりは、たんぱく質の供給が追いつかなくなる未来予測への対応策の一つといえます。
大豆を原料とした代替ミートは、栄養面から見ても、肉と比較して脂質が抑えられ、さらにコレステロールはゼロ。その上、食物繊維などの(肉にはない)成分を得られるメリットも。それだけに今後ますます大豆ミートの開発が進んでいくと考えられています。

大豆ミート/
チキンカラータイプ

大豆ミート/
ポークカラータイプ

大豆ミート/
ビーフカラータイプ

大豆ミート/
ビーフカラータイプ

さまざまなサイズや形状のほか、チキン・ポーク・ビーフの色味に合わせた大豆ミートがあります。

ミートだけじゃない
代替食材

大豆を使った代替食材は肉に限りません。たとえば、鮭フレーク風のものであったり、ふりかけの材料に使われることも。また、コロナ禍以降、健康志向が高まったこともあり、スーパーやコンビニでもプロテインバーやドリンクなどの商品も増え、手軽に購入できるようになりました。大豆プロテインの市場はますます拡大するでしょう。

大豆ミート、
メニューバリエーション

ハンバーグ

では、具体的に大豆ミートにはどのようなメニューがあるのかをピックアップしてみましょう。チキン、ポーク、ビーフ、どの肉にも加工次第で似せられる大豆ミート。まずは、ハンバーグ。大豆ミートのハンバーグは、肉を使ったものに比べ低カロリー、低脂肪、コレステロールゼロのヘルシーさが魅力です。

チョップドサラダ

お好みの野菜を1cm程度の角切りにしてドレッシングと混ぜるだけ。大豆ミートを加えればたんぱく質も摂取できます。

そぼろ丼

ひき肉の代わりに大豆ミートを使用したそぼろ丼。たまごのそぼろと一緒に食べれば、植物性と動物性のたんぱく質どちらも食べられます。

ガパオライス

大豆ミートを使ってガパオライスに。食物繊維も摂れてヘルシーな一品に。

オムレツ

オムレツの中身に大豆ミートを使ってヘルシーに。パンにもライスにもよく合います。

大豆の可能性まとめ

日本で古くから食べられ、汎用性の高さから、さまざまな食品として愛されてきた大豆。新たに代替ミートなどとしても注目され、今後も世界的に需要が高まっていくでしょう。最後に今回お話を伺ったお二人からのコメントをご紹介します。
山田さん:代替ミートで注目を集めている大豆ですが、伝統的に日本食に定着している貴重な食材です。肉の代わりとしての機能、価値もまだまだ発掘の余地はあると思います。
草野さん:日本人は大豆が身近すぎて今まで大豆の持つ栄養素や機能に注目してこなかったのかもしれません。大豆の魅力をもっと知っていただき、食生活を豊かにしてください。

PROFILE

教えてくださったのはこの方!

昭和産業株式会社
テクニカル企画推進部

山田 真也さん(やまだしんや)

昭和産業株式会社
フード事業部

草野 亜美さん(くさのあみ)

昭和産業株式会社

穀物から小麦粉・天ぷら粉・食用油・ぶどう糖・畜産の飼料まで、余すところなくおいしさを作る材料にして流通。食品メーカーとして穀物の取扱量は日本一
多種多量の穀物を扱う独自のビジネスモデルで、「食」に関わる課題の解決案を提案し続けています。
※昭和産業株式会社調べ

取材協力:昭和産業株式会社

https://www.showa-sangyo.co.jp

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