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ストレスを
マネジメントする

ストレスは強すぎると心身に影響を及ぼしてしまいますが、
生きていく上で避けて通ることはできないものでもあります。
それならば、ストレスとは何か、またその対処方法も知っておきたいですね。
そこで今回は、ストレスをうまくマネジメントするヒントや方法を
東京はなクリニックの医院長・興梠真紀先生に教えていただきました。

そもそもストレスって何?

よく耳にするストレスという言葉。ではストレスとは一体何なのでしょうか。興梠先生によると「ストレスとは、外部からの刺激などによって体の内部に生じる反応のこと。その原因となる外的刺激(ストレッサー)とそれに対する私たちの心身の反応(ストレス反応)とを合わせてストレスと呼びます。寒い、暑いなどの環境的刺激、けんかした、失恋したなどの人間関係からくる傷つき、試験がクリアできない、仕事がうまくいかないなどの日常的なことがすべてストレスの原因、ストレスになりえます」
一方でマイナス面ばかりでもないそうで、
「たとえば結婚や昇進もストレスになりますので、私たちの生活からストレスを一切取り除くことは不可能ともいえます。ですからストレスをうまくマネジメントできるといいですよね」

ストレスは人生のスパイス?!

また、ストレスの捉え方に関しても、
「ストレスという言葉を初めて用いたとされているストレス学説の提唱者ハンス・セリエは『ストレスは人生のスパイスである』という名言を残しています。この言葉の意味は、『ストレスを避けてはいけません。それは食べ物や愛、運動を避けるようなものです。すべてのストレスは私たちに傷跡を残していきます。でもそれは同じようなストレスに襲われたとき、今度は私たちを守ってくれるのです』というもの。どうでしょうか、少しストレスに対する見方が変わりませんか? こんなふうにストレスをご自身の中で理解できれば、ストレスに対して過敏になりすぎることを防げるのではないでしょうか」

ストレスのサイン、その原因は?

ではストレスの原因について教えていただきましょう。
「心は脳・体・環境のすべてから影響を受けます。ストレスについて考える場合、この3つすべてについて検証する必要があるのです。体と心はお互い密に連携しながらバランスを取っていますので、心は傷ついているのに食欲もりもり、毎日快眠というわけにはいかないことは想像がつくと思いますが、環境という視点で見直すと、転職や進学で急にストレスから放たれて輝きをます人もいますね」
体・心・行動において以下がストレスのサインとなります。原因に関してはやはり人間関係が最も多く、次に仕事への責任感であったり、将来や経済面への不安が原因となっています。

ストレスのサイン

ストレスの種類と現状は?

「ストレスを男女比でみると、女性の割合が高くなっています。当院も7対3くらいの割合で、女性の患者さんが多いのですが、これは数字そのままというよりは男性が我慢しがち、という側面もあると思います。どうしても男性は自分の悩み事を話すことを『恥ずかしい』とか『情けない』と思ってしまいがちなんですね。でもため込まない方がいいので、恥ずかしいと思わずにぜひ相談してほしいです。当院にも『夫の様子が気になる』というような奥さまからのご相談もよくあります。また、年齢的には、30代~50代が最もストレスを抱えやすい年代です。30代は仕事における周囲からの期待が高まり、多忙ゆえのストレスを感じる方が増える傾向にあります。40代は周囲からの期待がさらに大きくなり、管理職としての責任が重くなる年代。50代になると組織内での立場の差が顕著になる分、人間関係で悩む方やご自身の健康面、ご両親の介護問題などもストレッサーになってしまうようです」

ストレスの種類

悩みやストレスの有無別構成割合
(12歳以上)

性・年齢階級別にみた
悩みやストレスがある者の割合
(12歳以上)

12歳以上の者(入院者を除く。)について、日常生活での悩みやストレスの有無をみると「ある」が47.9%、「ない」が50.6%となっている(図1)。
悩みやストレスがある者の割合を性別にみると、男43.0%、女52.4%で女が高くなっており、年齢階級別にみると、男女ともに30代から50代が高く、男では約5割、女では約6割となっている(図2)。

出典:厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/04.pdfを加工して作成

コロナ禍での影響は?

では、コロナ禍による影響はあったのでしょうか。
「そうですね、コロナ禍によりリモート勤務になったことで人間関係に関するストレスが減った方もいますし、逆に漠然と病気やウイルスに対する不安や経済面への心労でストレスが増した方もいます。あと、リモートがあまりにも長期化するとさみしさも出てくるといいますか、人と付き合う絶対量は必要なので孤立感が高まってしまうこともありますね。それと、外出を避けるあまり日光にあたる時間が減り、それによる健康被害などもあるようです。人間の体はある程度日光に当たることで健康を保つというか、太陽の光を浴びないとイライラの原因になることもあります。これは皮下で十分なビタミンDが作られなくなるのが一因と考えられているのです。ストレスを感じたら日光浴をしてみてはいかがでしょう。気持ちが明るくなるかもしれません」

ストレスをためない術は?

「専門用語になりますが、ストレスコーピングという言葉があります。直訳すると『ストレス対処法』。ストレスのもと(ストレッサー)に対処する方法です。ストレスコーピングにはいくつかの種類があります」
(1)問題焦点コーピング:ストレッサーそのものに働きかけ、変化や解決をする。たとえば仕事がストレスの場合、仕事量を調整してもらったり、いったん休職したり、転職などをして回避する。
(2)情動焦点コーピング:ストレッサーそのものにではなく、それに対する考え方を変える方法。たとえば、悲しみや不安、怒りなどの感情を誰かに話して気持ちを整理する。カウンセリングなどを利用するのも一つの手段です。
(3)ストレス解消型コーピング:ストレスを感じた際に体の外へ追い出したり、発散させる方法。おいしいものを食べる、自分の好きな場所に行くなどで気分を変えることでストレスを解消する方法です。この方法は比較的簡単に気分をリセットできますが、ストレスの原因を根本的に解決することはできません。
「私はよくストレスをコップに入った水にたとえるのですが、コップの大きさを大きくする、つまり身体的に睡眠時間をたっぷり確保する、運動をする、たんぱく質や鉄分を摂るなども効果的です。オンオフをしっかり切り替えてオフの時間はしっかりとオフにするという心がけも大切なのです。ちなみにお酒を飲んで忘れる(切り替える)というのはおすすめできません」

ストレスの解消方法とは?

最後にストレス解消方法について具体的に教えてください。
「ストレス解消方法としてよくあげられるものは、●旅行 ●おいしいものを食べる ●親しい友達と会う ●推し活 ●適度な運動 ●きれいなものを見る ●睡眠をしっかりとる ●瞑想(マインドフルネス)などです。大切なのはストレスから離れること。身体的に睡眠、食事、運動などを行いリフレッシュすることを心がけてください。音楽や映画鑑賞も感情がリセットできるのでストレス軽減に効果的です。推し活も気持ちが刺激されるのでいいと思います。また、自分の気持ちをノートなどに書いて整理するのもいいでしょう。ぜひやってみてください」

ストレスの対処法
(コップのたとえ)

まとめ:先生からのアドバイス

「はじめに『ストレスは人生のスパイスである』という名言をご紹介しましたが、ストレスを怖がらずにマネジメントする、という感覚を持つのは効果的だと思います。次に同じような出来事が起こったときに、自分で対処できるようになり、ストレスに耐性を持つことが可能になります。それと、たとえば下を向かないということも大事なんです。上を向いていると腹が立ったことを忘れたり、複雑な悩みを思い出せなくなるといわれています。あとはおいしいものを食べて、たっぷりと睡眠をとり、太陽の下をお散歩してみるのもいいでしょう。それでも心身がすぐれない場合は、昔よりも心療内科は通いやすくなっていますのでぜひ相談してください」

PROFILE

教えてくださったのはこの方!

東京はなクリニック
医院長

興梠 真紀先生(こうろ まき)

慶應義塾大学医学部卒業後、大学病院にて研修。市川総合病院精神科、東京武蔵野病院にて急性期から慢性期まで治療経験を積み、精神保健指定医資格取得。
都内の企業にて産業医・労働衛生コンサルタントとして活動し、予防を重視したメンタルヘルス研修などの教育活動も行っている。ポジティブ心理学、認知行動療法やEMDRなど治療技法を用いて科学的なエビデンスを重視した、より負担が軽く、より効果の高い治療を実践。プライベートでは3姉妹の母。

取材協力:東京はなクリニック

https://tokyo-hanaclinic.com/

PROFILE

教えてくださったのは
この方!

東京はなクリニック
医院長

興梠 真紀先生
(こうろ まき)

慶應義塾大学医学部卒業後、大学病院にて研修。
市川総合病院精神科、東京武蔵野病院にて急性期から慢性期まで治療経験を積み、精神保健指定医資格取得。都内の企業にて産業医・労働衛生コンサルタントとして活動し、予防を重視したメンタルヘルス研修などの教育活動も行っている。ポジティブ心理学、認知行動療法やEMDRなど治療技法を用いて科学的なエビデンスを重視した、より負担が軽く、より効果の高い治療を実践。プライベートでは3姉妹の母。

取材協力:東京はなクリニック

https://tokyo-hanaclinic.com/